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退職勧奨

退職勧奨、その意味とやり方

 退職勧奨とは、文字通り退職を促すことですが、決定権は従業員側にあります。これには能力不足やトラブルが多い等の執務態度の問題、服務規律違反等の懲戒、等の要因があります。さまざまな要因で退職することが望ましいと考えられる場合には、退職勧奨は行うべきだと思います。何も対応をしないでズルズルといってしまうことは良くはないでしょう。

 退職勧奨は解雇とは違うので、それを行うこと自体は問題はありません。よく退職勧奨は違法であるとか、退職勧奨を受けた従業員が違法解雇だ、と騒ぎ立てるケースがありますが、これらは過剰反応といえます。ただし、退職勧奨はやり方を間違えるとまさに解雇の強要やパワハラ等として、訴えられることになります。

<面談時等の留意事項>
(1)面談の目的をはっきりさせる(退職の強要でないこと等)
(2)回数や時間は長くなりすぎない
(3)業務時間に行う
(4)多人数での話し合いは避ける
(5)メモを取る

退職強要になる行為

 上記で退職勧奨のことを書きましたが、一歩間違えると退職強要やパワハラになるので、十分気を付けることが必要です。
 
<退職強要となる恐れのある行為>
・退職しない意思を明確に示しても継続して退職を促す
・退職届の提出を執拗に迫る
・長時間、何度も執拗に退職勧奨を行う
・無視や仕事を回さないなどの嫌がらせを行う

人事評価を行う

 問題行動を起こす社員の場合、経営者ががまんをしてたまりかねて「クビだ!」的な発言をしてしまうケースがありますが、これは最悪です。
 簡単でよいので人事制度を作り、「行うべき行動」「行ってはいけない行動」を明らかにして、評価をすべきです。評価が低い場合には降給のありでしょう。あきらかに問題行動を起こしているにもかかわらず、他の人と条件が同じであれば公平とはいえませんし、本人にも伝わらないでしょう。

退職勧奨が違法とされた判例

<概要> 航空会社の契約社員(客室乗務員)であった原告が、上司から受けた退職勧奨が不法行為に該当するとして当該上司及び会社に対し慰謝料500万円の支払いを求めた事案。

<理由>
​ 成績が低迷し、退職勧奨を受けていた原告が、自主退職はしない旨明言した後に、なお、上司が「いつまでしがみつくつもりなのかなって」「辞めていただくのが筋です。」などの表現を用いて退職を求めたこと、しかもその面談は長時間に及んだことなどを社会通念上相当と認められる範囲を逸脱している違法な退職勧奨と判断し、さらに「もう十分見極めたから。」「この仕事には、もう無理です。記憶障害であるとか、若年性認知症みたいな」の言動が違法な退職勧奨であると認定した。
 上記上司の言動は、いずれも、原告が度重なる指導にも拘わらず寝坊やミスを犯した数日後であったことから、上司の「対応が厳しくなるのもやむを得ないという事情がうかがえる」として一定の理解を見せたものの、なお違法であると判断された。
 これら違法な退職勧奨の慰謝料として、原告は500万円を請求していたが、一審、本判決ともに20万円が妥当と判示した。

                      <日本航空事件東京高裁平成24年11月29日判決>

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