1,自宅訪問および文書送付
一度は自宅へ訪問すべきです。ただし留守(含居留守)の場合、文書にて退職の手続きについて通告する必要があります。「この文書を見たら必ず連絡をください。○○日までの連絡がない場合、懲戒解雇として処分いたします。」等の文書です。
文書を送付する場合、配達記録等で配達を証明する手段が必須です。解雇通知を送る場合や労使紛争に発展することが予想される場合には、内容証明にすることが必須です。
2,重要な引継ぎや会社の備品を本人が預かっている場合
本人の意図での無断欠勤の場合、文書等により出社や返品を促すべきです。その場合には法的措置を取る、等の脅かしの文言も必要になるかもしれません。
3,退職金や未払の給与がある場合
就業規則lには退職金は懲戒解雇事由に該当する場合、支給しないとの文言は必須です。また未払給与がある場合これは支払い義務はありますが、手渡し等の方法は考えるべきです。また、上記2がある場合、対応により退職金の支給制限は考えるべきでしょう。
争点
コンピュータ会社から無断欠勤で諭旨退職とされたSEが地位確認、賃金、賞与等の支払いを求めた事案(労働者勝訴)
事案概要
コンピュータ会社Yから、就業規則所定の懲戒事由である正当な理由のない無断欠勤があったとして諭旨退職処分を受けたシステムエンジニアXが、雇用契約上の権利を有する地位の確認と、賃金と遅延損害金の支払い及び賞与と遅延損害金の支払いを求めた事案。 第一審東京地裁は、判決確定日の翌日以降の金員支払いについて却下し、その他請求を棄却したため、Xが控訴。 第二審東京高裁は、判決確定日の翌日以降の金員支払いについて却下し、それ以外の請求を認めたためYが上告。 最高裁第二小法廷は、Xは、被害妄想など何らかの精神的な不調によりYに休職の承諾を求めたが出勤を促されるなどしたため、自分自身が納得しない限り出勤しない旨をあらかじめYに伝えた上で有給休暇を全て取得した後、約40日間にわたり欠勤を続けたものである。このような精神的な不調のために欠勤を続けている労働者に対しては、精神科医による健康診断を実施するなどした上で、その診断結果等に応じて必要な場合は治療を勧めた上で休職等の処分を検討し、その後の経過を見るなどの対応を採るべきところ、このような対応を採ることなく、直ちにその欠勤を正当な理由のない無断欠勤として諭旨退職の懲戒処分の措置を執ったことは、精神的な不調を抱える労働者に対する使用者の対応としては適切なものとはいい難いとして、上告を棄却した。
全基連記事より引用