1,出退勤とタイムカード記録の差
出退勤を管理する場合、タイムカードや出退勤ソフトを使用するケースがほとんどでしょうが、出社してすぐに打刻して業務開始まで時間があったり、退勤時に一服してから帰る直前に打刻する、ということが良く起きます。労働者が意図してか否かは別にして通常起こり得ることです。
2,放置すると会社は負ける
この時間は当然に労働時間ではありませんが、そのまま放置すると労基署や裁判ではほぼ労働時間とされてしまいます。これは記録がある限りは会社が、労働者が業務をしていないことを証明しなくてはならないからです。これはほぼムリです。
3,こまめな管理が重要
上記を防止するにはどうするか。業務直前または業務終了後すぐにの打刻を業務命令として出すことと、間違いや打刻忘れ等があった場合、すぐに本人確認のうえ修正する必要があります。勤怠ソフトであれば上司がPCで修正できるので、タイムカードよりは管理しやすいでしょう。また、打ち間違いを防止するしくみや、スマホでの打刻の場合打刻場所がわかるものもあります。この分野でも情報武装が重要です。ただし、会社が勝手に修正することはNGなので、必ず本人への確認は必要です。
働き方改革関連法で、労働時間の管理がより厳格化しています。
<安全衛生法>
事業者は、第66条の8第一項又は前条第一項の規定による面接指導を実施するため、厚生労働省令で定める方法により、労働者の労働時間の状況を把握しなければならない。
第66条の8の3
<労働基準法>
使用者は労働者の労働日数や労働時間数、休日労働時間数、時間外労働時間数、深夜労働時間数などを賃金台帳に適正に記入しなければならない。これらの事項を記入していない場合や、故意に賃金台帳に虚偽の労働時間数を記入した場合、30万円以下の罰金刑が科されるおそれがある。
120条の1
従来は労働時間管理が出来ていない場合、残業手当請求等が起きることが主な問題でしたが、現在は労働時間管理ができないそのことが問題となってます。これが時間外労働の上限規制等につながっていくからです。また、30万円の罰金は金額としては大したことはないのですが、行政処分が下されると助成金の申請ができなくなったり、銀行融資が受けずらくなったりと企業経営には大きな影響を受けます。
<労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置>
〇使用者は、労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、適正に記録すること
(1)原則的な方法
・ 使用者が、自ら現認することにより確認すること
・ タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、 適正に記録すること
(2) やむを得ず自己申告制で労働時間を把握する場合
①自己申告を行う労働者や、労働時間を管理する者に対しても自己申告制の適正な運用等ガイドラインに基づく措置等について、十分な説明を行うこと
②自己申告により把握した労働時間と、入退場記録やパソコンの使用時間等から把 使用者は労働者が自己申告できる時間数の上限を設ける等適正な自己申告を阻握した在社時間との間に著しい乖離がある場合には実態調査を実施し、所要の労働時間の補正をすること
③労働時間とは使用者の指揮命令下に置かれている時間であり、使用者の明示又害する措置を設けてはならないこと。さらに36協定の延長することができる時間数を超えて労働しているにもかかわらず、記録上これを守っているようにすることが、労働者等において慣習的に行われていないか確認すること
〇使用賃金台帳の適正な調製
使用者は、労働者ごとに、労働日数、労働時間数、休日労働時間数、時間外労働時間数、深夜労働時間数といった事項を適正に記入しなければならないこと
従来、営業職のように事業外で働く社員には、出勤簿形式で印鑑だけを押すだけのものをよく見かけましたが、上記をみればほぼ把握は無理でしょう。タブレットやスマホでも打刻できる勤怠ソフトをうまく使っていくことが必須だとも思えます。
☆ 当事務所ではクライアントには無料で勤怠ソフトを提供しています。