労働者が10人以上いる事業所では、就業規則の作成と労働基準監督署への届け出が法的義務です。10人にはパート等の雇用形態は問われません。労働者代表の意見書を添付します。特に同意を取る必要はありませんが、代表の選任には公平性が問われます。
就業規則の運用にはこの周知徹底が重要です。ある意味これは上記よりも重要で、周知徹底がなされていないということで就業規則に書かれていることの有効性が否認された裁判もあります。労基法には周知方法として下記が書かれています。
<労働基準法施行規則第52条の2>
法第百六条第一項の厚生労働省令で定める方法は、次に掲げる方法とする。
一 常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること。
二 書面を労働者に交付すること。
三 磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該
記録の内容を常時確認できる機器を設置すること。
旧規則は、従業員に対して全く周知がされなかったものであり、かつ、実際にもそこに定められた定年制を前提とする運用は行われていなかったというべきであるから、旧規則による定年の定めはその効力を認めることができない。したがって、被告には、平成7年の新規則制定まで定年の定めはなかったというべきである。
関西定温運輸事件(大阪地判平10・9・7)
代表者は事業場ごとに決めます。管理監督者でない者で、事案ごとにその目的を定めます。就業規則であれば、就業規則の意見を聞くための労働者代表と規定します。そうはいってもその都度選ぶこともたいへんですし、労働者代表が必要な手続きは36協定等と限られているので、1年程度で労働者代表としての業務を限定して選んでいけば良いと思います。
その事業場に労働者の過半数で組織する労働組合があればその労働組合、ない場合には労働者の過半数を代表する者を選任します。労働者にはパート等の非正規も入ります。選任する方法は公平性が問われ、使用者が特定の個人を指名して了承を得る等はNGです。厚生労働省では、「投票や挙手、労働者の話し合いや持ち回り決議などでも構わないが、労働者の過半数がその人を選任していることが明確な民主的な手続きが取られているか必要」としています。親睦会の幹事が自動的に労働者代表になることはNGなので、改めて選出することは必要です。
労働者の選任方法に不備があり労働者代表であることを否認される例もありますので、注意が必要です。