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リアライズ社労士法人

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七つの人事制度

全体フロー

Ⅰ 想いを形に 
 理念作り(見直し) ・理念事例
Ⅱ 経営理念を落とし込む方法  
 部門ミッション→コンピテンシー
Ⅲ 7つの人事制度 
 目標面接制度・賃金制度(ブロードバンド)・コンピテンシー&執務態度  人事考課・処遇・能力活用・育成
Ⅳ 運用はコーチングで 
 コーチング導入・コーチング研修

ハーズバーグの動機付け
/衛星理論

Ⅰ目標面接制度

目標管理ではなく、部下がひざを突き合わせて話しあう制度です。これは人事制度のなかで最も大事な制度で、人事制度がこれからの企業では、まずは目標面接から取り入れても良いと思います。各種調査で有名なギャラップ社の調査で、優れたマネジャーの共通する行動として、部下と定期的に1対1の面談を行うことがわかっています。

1、組織的かつ定期的 
ほとんどの会社で部下との面談は行っているでしょうが、幹部とリーダー、リーダーと部下、といった組織的に行うことが大事です。うちのリーダーはまだ育ってないからといった声も聞かれますが、幹部育成に目標面接は多きな威力を発揮します。また場当たり的ではなく、年に2回イベントとして行うと効果が高いです。

2、評価ではなくモチベーションのために 
人事制度というとすぐに評価となりますが、この面接制度は評価を全面に出すとうまくいきません。人事制度の目的は、『経営の意思の伝達と従業員のモチベーションの伝達』。これを前提で行うと必ず良い結果がでます。

Ⅱ賃金制度

1,賃金の意味と分析

1、賃金はやる気をなくす要因?
下表はハーズバーグの、働く人のやる気が出る要因とやる気をなくす要因は別なので、異なる管理をする必要があるといった、有名な理論です。今日、非常にマトを得ていると再評価されています。
これによると、賃金はやる気をなくす要因になってます。つまりドンドン賃金を上げても、それに比例してやる気が出ることはなく、慣れてしまい、逆に賃金を上げてもライバルよりも低ければ、やる気がなくなってしまったりするのです。これは賃金を上げても意味がないと言ってるのではありません。精緻に作りこんでもあまり意味がなく、アバウトでも良いから納得感が大事であることを言ってます。やる気をなくす要因なので、方向性を間違えるとやめてしまうので、そういった意味では難しい分野です。 

2、自社の賃金分析
下記の項目で、やる気をなくす制度のなっていないかが大事です。
(1)全体のプロット図から
 ①傾き ②ばらつき ③水準
 これらはどうなっていれば良いというものではなくて、会社の方針を体現できる形になっているかが大事です。
(2)手当は意味があり合理的か、意味のない手当がついていないか。
(3)残業手当は適正に管理されているか、時間外手当が偏って支払われていないか。

2,これからの賃金制度

1、自社にピッタリの制度
成果給で成功(某飲食チェーン)している企業もあれば、年功給で成功(岐阜のほうの某メーカー)している企業もあり、最近では成果給と年功給を選択できる企業も現れ、一昔前のように”職能給を導入すれば良い”といった一面的なことはなくなりました。自社の経営方針を実現するためには、どんな制度が良いのだろう、といったまさに哲学をすることが大事になってきました。

2、ブロードバンド給
賃金表のような固定的に賃金支払を約束するものはおそらく実行不可能です。しかし、全員をその都度判断していたら制度になりません。理屈にあった器と、その中でフレキシブルに運用できる制度が必須です。

3、等級は少なめに
『器&フレキシブル』の考えですと、等級は少なめのほうが良いです。中小企業の場合はせいぜい4等級、中堅企業でも5等級くらいが妥当ではないでしょうか。それ以上になると、制度のための制度になっていきます。

4、賞与に工夫を

賞与はいろいろな制約からはずせる側面をもっているので、業績連動や成績による配分等、メリハリをつけた運用が有効です。

Ⅲコンピテンシーと執務態度

コンピテンシー

高い業績を上げるための類型化された行動特性のことで、 経営幹部に対する評価制度として有効です。
アメリカの国務省・心理学者等の研究結果から導き出された概念で、高業績を上げているビジネスマンの、心理的な深い動機等から具体的な行動までを分析し指標にしたものです。
コンピテンシーディクショナリーとして体系化されてもいますが、中小企業の場合、部門ミッションから落とし込み、コンピテンシーを実現するための具体的な方法を従業員に考えさせるとモチベーションの高い制度になります。

執務態度

いわゆる仕事に対する姿勢のことで、古めかしい制度にも見えますが大変重要なことです。かなりの規模の企業で評価はこれだけで行っているという話しも聞きます。一般的には一定のレベル以下の階層に使います。
1、規律性/決められたことを守っていくこと 
2、責任制/自分に与えられた仕事を一生懸命にすること 
3、協調性/互いに力を合わせて協調し調和していくこと 
4、積極性/何事も自分から進んでやること

Ⅳ人事考課

1、シンプルイズベスト

(1)評価制度を作る(後だしジャンケンは×)
中小企業の場合、評価制度がなかったり、業績からこじつけたり、どこかの資料から無理やりひっぱってきたりするケースが見うけられます。企業の状態に応じて運用できる最低限の制度は、早い段階で作っておいたほうが良いです。
(2)評価は最初から決まってる?
経営者や経営幹部の方に聞くと、ほとんどの方は「部下の評価はだいたい決まっている」と言います。第三者からみても、これが最も当たっているようにも思えます。したがって特に中小企業の場合には、上司に当たる人が「部下の何を持って優秀とするのか、何を持ってダメとするのか」、を書面に落とすことが最も運用しやすい適切な評価制度になります。
(3)良いどんぶり勘定(主観と客観を使い分ける)
①<材料>主観 <評価>主観 × おもいつき、好き嫌い
②<材料>客観 <評価>客観 × 無理がある
③<材料>客観 <評価>主観 ○ 客観的な材料を見て、上司が判断する
(4)説明責任が大事
良いどんぶり勘定を可能にするのは上司の説明責任です。どこまでいっても到達できない精緻な制度をめざすよりも、良いどんぶり勘定で納得感を持たせるために、「なぜこの評価で、その結果この給与で、何をすればもっと良い給与をもらえるのか」を上司が説明することが最も大切です。
(5)大企業も採用している
たとえば大企業の年俸制、よ~く分析してみると、「いかに良いどんぶり勘定を達成しようとしているか」だと思われます。 

2、人事評価の材料は
代表的なものを挙げておきます。何を評価するかを決めておくことは、後だしジャンケンにしないためにも大変重要です。これらは客観性が大事ですが、これらを客観的に(自動的に)判断できるようにしようとするとおかしくなってきます。

材料を客観的に見る⇒上司が主観的に判断する⇒説明責任を果たす

(1)業績/仕事振り
この半年(または1年)何をやってきたかですから、最も重要な項目でしょう。あらかじめキーワードを決めておいたり、目標を設定しておくことも良いと思います。ただし、「目標の達成度によって何かを決める」といった視点はまず失敗しますので避けたほうが良いです。
(2)執務態度
古くから行われてますが、現在でも非常に有効な制度です。規律性、責任制、協調性、積極性、を見るものですが、これ1本で評価を行っている企業もあります。
(3)コンピテンシー
心理学から発展した人材マネジメントで、「ある状態または職務で高い業績をもたらす類型化された行動特性」といえます。人事制度を変えたといっていいくらいインパクトのあるものです。

3、目標面接がキモ
(1)組織だったフィードバックの効果
「小さい組織だから普段から面接はやってます。」といった声はよく聞かれます。しかし、一定のきまりやしかけで行う組織だった面接は、それとは全く次元の異なる、効果の高いものとなります。 
(2)評価は2の次?
従業員は評価されるために働いているわけではありませんし、会社も評価するために人を雇っているわけでもありません。また完全な評価も存在しません。したがって、人事制度で評価を全面に出すと失敗します。半年に1回、ひざを突き合わせて、お互いに言いたいことを言い、聴きたいことを聴き(経営方針のすり合わせ)、将来への成長を話し合うとともに評価をする、といった視点が大事です。
(3)幹部の最良の教育 
部下を面接することは、人の話を聴き、会社の経営方針を伝え、自分の思いを伝える、高度なマネジメントです。これらを続けることにより、幹部の実力・モチベーションが格段に上がります。
(4)結果として時間の削減
目標面接制度を全社をあげて行うことは大変な作業となります。しかし、これにより、伝えたいことが伝わり、モチベーションがあがり、建設的な提案が起こり、結果としてはマネジメントの時間を削減することになります。

Ⅴ処遇

1、昇給(降給) 

等級内での給与の上げ下げです。賃金体系を賃金表ではなくブロードバンドにして、評価にもとづいた昇給ポイントを決めます。ただしマイナスは相当なショックを与えますので、充分慎重に行うべきだとは思います。

<例>

  S A B C D
4等級 15,000 10,000 6,000 0 6,000
3等級 12,000   8,000 4,000 0 4,000
2等級   9,000   6.000 3,000 0 3,000
1等級   6,000   4,000 2,000 0 2,000

ポイントの換算金額は年によって変更します。またある程度幅を決めて、フレキシブルに運用する方法もあります。また同じ等級内では等級のアッパーになったら昇給はストップです。

2、昇格(降格) 
上の等級にいくことができるかの評価です。賃金額が等級内のアッパーになったら、昇給する以外には賃金を上げることができません。上司からの推薦&評価会議によって決めます。
3、賞与 
賞与は業績や成績に連動させられることが利点にもかかわらず、基本給連動がほとんどのようです。賞与原資を決めて、評価ごとのポイントを決めて、きれいに配分する方法がお勧めです。 評価は昇給(降給)を使えばよいと思います。ただし、評価の配分はより成績を重視した配分等工夫が必要です。

1、グレードポイント 2、役割ポイント
  S A B C D   S A B C D
4等級 240 220 200 180 160 GM 60 55 50 45 40
3等級 180 165 150 135 120   M 36 33 30 27 24
 2等級 144 132 120 108   96   L 12 11 10   9   8
 1等級 120 110 100   90   80            

  ☆ 賞与額=賞与原資×獲得ポイント/総ポイント

Ⅵ能力活用

1、適材適所 
これは言うまでもないことです。(株)ミスミのように応募制ができれば最高でしょう。

2、キャリアパス 
キャリアパスとは、仕事の経験を積みながら次第に能力を高くする順序、あるいはその目的のための職場を異動する経歴のことです。 
終身雇用が崩れた現在、このキャリアパスを明示することは大変大事なことです。従業員が途中での退社も含めたキャリアプランを作れることは、モチベーションアップに大きく寄与します。

Ⅶ育成

教育訓練は「わかってはいるが・・・・」という企業が多いと思います。また、大企業でなければ、なかなか教育訓練を体系化するのも難しいと思われます。

ここでは普段の活動を教育訓練の場にする方法を提案いたします。

1、会議を教育訓練の場に 
いろいろな意図で会議を行っていると思われますが、例えば4回のうちの1回を教育訓練の日と決めてしまいます。そうすることによって会議自体も効率よくなると思いますし、教育そのものが業務改善に直結すると思います。

<テーマ例> 
① 部署を越えた問題解決 
② 新規事業や業務改善へのアイデア出し 
③ プレゼンテーションの訓練 
Etc

2、目標面接を教育訓練の場に 
人事制度の一環として面接制度を設けている企業の多いと思いますが、ここでは面接をする側(上司)の教育訓練の場にします。会社方針を伝える、部下のモチベーションを上げる、正しい評価をする、等等、目標面接は教育訓練の宝庫です。

3、評価者会議を教育訓練の場に 
人事評価で評価者会議を行っている場合、幹部に対しての教育訓練の場になります。どうして部下はそのような評価なのか、部下にどのような働きかけをしたのか、等等、会社の考えを伝え、部下とのかかわりを聞き、と教育の材料が転がってます。

4、あとがき 
専門スキルの取得等はOff-JTでないとダメでしょうが、普段の活動を教育の場にするしくみづくりは特になかなか時間が避けない中小企業では大事な視点だと思います。

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